お役立ちコラム

宗派による【供養】の作法の違い

同じ仏教でも、その宗派によって供養の作法も異なります。今回は、仏教の各宗派ごとの葬儀やお焼香、念珠など作法の違いについて紹介します。

臨済宗の葬儀

臨済宗では、禅の考えに基づき、葬儀を“故人が仏の弟子となって修行の道に入り、自らの仏性に目覚める儀式”と捉えています。
通夜では「般若心経」が読まれ、葬儀では「観音教」「大悲円満無礙神咒」「宗門安心章」などが唱えられます。
葬儀では、白木位牌の一番上に円相(○の字)を書いたものを用います。戒名には「新帰元」と、戒名の下には「霊位」と書きます。仏壇に位牌を祀る習慣は臨済宗から始まった倶言われています。

臨済宗の念珠とお焼香

臨済宗の数珠は108の玉が連なった「看経念珠」が正式なものとなります。これは人間が元108の煩悩を解消する力があると考えられています。そのほか、「振分念珠」と呼ばれる長い数珠を使うこともできます。合掌する時以外は、念珠を二重にして左手首にかけます。合掌するときは、二重にしたまま左手の親指と人差し指の間に、房が下にくるようにかけます。右手を添えて合掌礼拝をして「南無釈迦牟尼仏」と唱えます。
お焼香は額にもってきたりせずに、そのまま1回香炉にくべます。臨済宗の中でも宗派によっては2回、3回の焼香を行ったり、1回だけ額に頂いたりする宗派もありますので、不安な場合は寺院に確認すると良いでしょう。

曹洞宗の葬儀

曹洞宗の葬儀は儀式が多いため、お葬式に時間がかかると言われています。曹洞宗の葬儀は“死後にお釈迦様の弟子になる”という目的で行われ、その弟子になるために必要な戒名、戒法を授かるための「授戒」と悟りを開くために仏の道に導く「引導」を行うのが特徴となります。葬儀の流れとしては①剃髪②授戒③入棺諷経(読経・焼香)④龕前念誦(故人が悟りの道を進むことを祈るためのお経と十仏名を唱える)⑤挙龕念誦(出棺に際して故人を見送るための儀式)⑥引導法語(導師が故人の生前を漢詩で表し、松明で円を描き悟りの世界へ導く)⑦山頭念誦(故人に荼毘することを告げ、すみやかに悟ることを願う)⑧出棺 という流れで行われます。

曹洞宗の念珠とお焼香

曹洞宗の数珠は玉が108個ある、「本連」と呼ばれるものが正式なものです。
数珠を左手の4つの指にかけて合掌します。房は下にして、長いものは二重にしてかけます。
 お焼香は2回が一般的です。1回目は故人のご冥福を祈って薫じるもので、左手を添えて額の前に軽くささげ、香炉に入れます。この時左手を右手の下に添えると、念が一層こもると言われています。2回目は1回目の主香が消えないように香をつまんでそのまま香炉へ入れます。

日蓮宗の葬儀

日蓮宗は葬儀の中でも「南無妙法蓮華経」のお題目を唱えます。これは“故人の生前に信心深さを讃え、故人が無事に霊山浄土に辿り着き成仏する“手助けとなるため、参列者にとっても功徳を積むことになり修行が進むとされています。葬儀の流れとしては①開式宣言②総礼(僧侶が合掌しお題目を三唱)③道場偈(諸仏をお迎えし礼拝)④三法礼(仏・法・僧に礼拝)⑤勧請(釈迦、菩薩、日蓮聖人等をお迎え)⑥開経偈(法華経を讃える)⑦読経⑧咒讃鐃鈸(供養のための演奏)⑨開棺(僧侶が扇子を用いて棺を3回打ち鳴らし、音を立てながらお経を読み、お供物のお花やお茶、お膳などを祭壇に捧げる)⑩引導(仏様に故人を引き合わせる儀式で、僧侶は麻や獣毛などを柄につけた仏具を振り引導文を読む)①①唱題(お題目を唱える)①②宝塔偈(法華経の功徳を讃える)①③回向(死後良いところに生まれることを祈る)①④四誓(誓いの言葉を唱える)①⑤三帰(祈りを捧げる)①⑥奉奏(仏様をお送りする)①⑦閉式宣言 という流れになります。

日蓮宗の念珠とお焼香

日蓮宗には、僧侶が使う装束数珠と、一般用の勤行数珠という2種類の数珠があり、房が丸くなっているのが特徴です。房の長さは、短・中・長とあり、中房と長房は僧侶がご祈祷をする際に用います。玉の材料は白水晶が最上だと言われています。合掌をするときや経本を持つときは、房を下にして左手に二重にかけて持ちます。勧請、唱題、回向の大切な儀式のときは、親玉を両手中指の第一関節に、数珠を一度ねじってからそのまま両手を自然に合わせます。房は、2つの房が右手に、3つの房が左手にくるようにします。
お焼香の正式な回数は3回とされていますが、参列者の人数の都合などで、導師は3回、一般の参列者は1回であることが多いです。焼香台の前でまず合掌・一礼し、右手の親指と人差し指で香を軽くつまみ、静かに火種に注ぎます。終わったら再び合掌・一礼して席に戻ります。

天台宗の葬儀

天台宗の葬儀は「顕教法要」「例時作法」「密教法要」の3つの儀式によって執り行われます。「顕教法要」では、法華経を読経して個人の生前の行いに対する懺悔を行います。「例時作法」は、阿弥陀経を読んで阿弥陀如来に救いを求め、故人が極楽浄土へ往生するように願います。「密教法要」ではサンスクリット語をそのまま写した「光明真言」を念誦して本尊を供養します。
また、天台宗の葬儀では、散華と言って蓮の花びらに見立てた紙を棺などに巻く儀式があります。蓮の香りによって悪いものを払うという意味があります。

天台宗の念珠とお焼香

天台宗の数珠は、よく見かける丸い玉を連ねたものではなく、楕円形の平たい数珠を用いるのが正式なものとされています。108個の「主玉」と4個の「天玉」、1個の「親玉」が連なっており、その親玉からさらに紐が伸びそこに「弟子玉」が連なっています。親指と人差し指の間に引っ掛けるようにしてもち、弟子玉の部分を下に垂らして礼拝します。
お焼香の回数は、寺院や地域によって違いがあると言われていますが、特に決まりはなく、左手を右手に添えながら額にいただく流れを3回繰り返すのが主流とされています。

真言宗の葬儀

真言宗の葬儀は、故人を密厳浄土という大日如来のいる仏の国に送り届けるための儀式として捉えられています。お経は一刻も早く個人に真言の教義を教え、即疾成仏するために早口かつ小さな音で読まれます。また、納棺の際に「土砂加持」(洗い清められた土砂を僧侶が少量故人の身体に振りかける儀式)が行われたり、引導の儀式の際に「灌頂」(故人が大日如来と一体化するために個人の頭に水を注ぎかける儀式)が行われたりします。

真言宗の念珠とお焼香

真言宗の数珠は「振分数珠」と呼ばれる長い数珠を用います。108個の「主玉」、2個の「親玉」、4個の「四天玉」、20個の「弟子玉」、1個の「浄名玉」がつき両端に房が2本ずつある本連数珠は正式なものとして広く使われています。房を外に出して両手の中指にまっすぐ掛け渡してそのまま合掌します。頻繁に両手を擦り合わせてジャラジャラと音を立てるのも特徴の一つです。
お焼香の回数は3回で、額の高さまで上げておしいただきます。お線香も同じく3本手向けるのが基本となっています。


 

浄土宗の葬儀

浄土宗の葬儀では、僧侶と参列者一同が念仏を唱える「念仏一会」を行います。「南無阿弥陀仏」と念仏を10回〜一定時間唱えることで、故人や阿弥陀如来の救いを得る助けをします。また参列者と阿弥陀如来との縁を結ぶ意味も込められています。

浄土宗の念珠とお焼香

葬儀で使う数珠は男性用が「三万浄土」、女性用が「六万浄土」と呼ばれています。輪が2連になっていて片方から房が2本でており、日々唱える念仏を数えられる構造を持っているのが特徴です。
お焼香の回数に特に決まりはないですが、三毒煩悩を焼き尽くして清浄を保つという意味を込めて、3回を基本とするところが多いようです。

浄土真宗の葬儀

浄土真宗は「往生即成仏」という考え方があり、極楽往生のための“供養“や“修行“を必要としません。そのため、他の宗派の葬儀で見られる「引導」や「授戒」の儀式がありません。香典袋の表書きにも、「御霊前」ではなく「御仏前」と書きます。故人の往生を祈る“供養“ではなく、阿弥陀如来に故人の往生を託し、阿弥陀如来との接点を与えてくださったことや教えを受ける機会を与えてくださったことに感謝する、という意味合いで葬儀が行われるため、礼拝の対象も故人ではなく阿弥陀如来に対してとなります。

浄土真宗のお焼香

ご本尊の前で一礼し、お香を3本の指でつまむ流れは一般的なものと同じです。その後、本願寺派の場合はそのまま1回だけ香炉にくべます。真宗大谷派の場合は2回香炉にくべます。

黄檗宗の葬儀

黄檗宗では「法式梵唄」と呼ばれる、独特なお経の読み方があります。4拍子のリズムで節をつけてテンポ良く読みます。それに合わせて木魚や太鼓、ドラなど楽器のような法具をたくさん用いて経典を読むため、音楽のような読経になっています。中国には床に座る習慣がないため、法式梵唄はすべて立って行われます。中国様式を随所に残している黄檗宗では、お経の読み方も日本風ではありません。「南無阿弥陀仏」は「ナムオミトフ」、「摩訶般若波羅蜜多心経」は「ポゼポロミトシンキン」と読まれます。そのため、同じお経でも臨済宗と黄檗宗では全く違うお経に聞こえます。

黄檗宗の念珠とお焼香

 禅宗の宗派では、108個の玉と親玉を繋いだシンプルな看経念珠が正式な念珠となります。黄檗宗の看経念珠は、108個のたまと2個の親玉で作られ、10個ごとの記子が付けられているのが特徴です。
 お焼香の流れは基本的には他の宗派と大きな違いはありません。祭壇の前で遺影と遺族に向かって礼をし、焼香台に進んで、人差し指、中指、親指の3つで香をつまみます。そのまま額にささげてから香炉にくべます。これを3回繰り返し、終わったら手を合わせて遺影と遺族に礼をして、席に戻ります。

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