お役立ちコラム

いろいろな宗教・宗派の種類

日本には様々な宗教があり、そこの中でもたくさんの宗派が存在します。特に葬儀やお墓関連では宗教や宗派によって作法が大きく異なります。普段の生活の中では自分の宗教や宗派を意識することなく、お墓を新しく建てる、仏壇を新しく購入するなどの時になってはじめて自分の宗派を知るという方も少なくありません。今回は、そんな宗教や宗派の種類についてお話します。

日本では13宗56派の仏教が存在する

現在、日本では13宗56派の仏教が存在しており、仏教以外では、キリスト教、神道があります。
そもそも宗派とは何なのか?というと、それは仏教内の分派を示す言葉で、教義や信仰対象などの違いや歴史的経緯などにより生じたひとつの集団のことを指します。仏教大国である日本ですが、もともと仏教は古代インドが発祥で、中国・朝鮮を経由して日本に伝わってきて、飛鳥時代に聖徳太子が根付かせたと言われています。
奈良時代には南都六宗と呼ばれる学派が現れ、平安時代には最澄や空海がそれぞれの思想を発展させていきました。
鎌倉時代に入り、法然と弟子の親鸞、栄西や道元、日蓮によって現在の主な宗派が成立しました。
長い歴史の中で生まれた13の宗派は、大きく5つに分かれています。

奈良仏教系の南都六宗

●法相宗(ほっそうしゅう)
宗祖は「基」。密教のような即身成仏ではなく、長い年月をかけて修行を行うことによって成仏できると考えられています。法相とは存在のあり方を指している言葉で「唯識三年倶舎八年」という難解な思想をもっています。唱名は特に定められていませんが、一例として般若心経などが読まれます。

●華厳宗(けごんしゅう)
宗祖は「杜順」。中国で開宗された宗派で、日本へは審祥によって伝えられました。「一がそのまま多であり、多がそのまま一である」という相反するものをひとつに統括するという考え方をもっており、大方広仏華厳経を経典の中心として、その思想を拠り所にしています。唱名は特に定められていませんが、一例として般若心経などが読まれます。

●律宗(りっしゅう)
宗祖は「鑑真」。経・律・論の中の律を中心とし、定められた戒律を厳格に守らなければなりません。戒律を守ることで悪事が防げると考えられています。また、善行を積極的に行うべき、すべての人に利益を施すべきという教えもあります。唱名は特に定められていませんが、一例として般若心経などが読まれます。

平安時代の密教系

●天台宗(てんだいしゅう)
宗祖は「最澄」。妙法蓮華経を主な経典としており、天台法華宗と呼ばれることもあります。円・密・禅・戒のすべてを大切にしており、特に定められている本尊はありません。天台宗で学んだのちに宗祖となった人も多いので、他の宗派との違いがあまりない宗派とも言えます。唱名は、南無阿弥陀仏が一般的です。

●真言宗(しんごんしゅう)
宗祖は「空海」。日本で唯一の純粋な密教(=大衆に向けてではなく信者にのみ教えを広めていく)です。十住心思想という人の心のあり方や価値観などを10段階に分けて考える思想があり、最終的には本尊である大日如来と同じレベルに達することを説いています。唱名は南無大師遍照金剛です。

浄土系

●浄土宗(じょうどしゅう)
宗祖は「法然」。修行による成仏を否定し、念仏によって極楽往生するとされています。成仏するためには、極楽浄土に行ったあとに修行することが必要だと考えられています。主な経典は浄土三部経で、その中でも観無量寿経に重きを置いています。唱名は南無阿弥陀仏です。

●浄土真宗(じょうどしんしゅう)
宗祖は「親鸞」。法然の弟子である親鸞が開祖であり、浄土真宗でも修行による成仏は認めていません。人が求めていなくとも仏は救ってくださるという他力回向の理論があり、改めて修行する必要はないとされています。浄土宗では念仏を唱えることで極楽往生するとされていますが、浄土真宗では仏様が救ってくださると信じていれば往生できるとしています。浄土三部経の中では無量寿経に重きを置いており、唱名は南無阿弥陀仏です。

●融通念仏宗(ゆうずうねんぶつしゅう)
宗祖は「良忍」。唯一の日本発祥の宗派になります。毎日百遍の念仏を唱えることが修行の根幹であり、来世ではなく現世で往生するという教えが基本です。物と物はすべて相互に融通し合っているとされ、一人の念仏はすべての人の為になり、すべての人の念仏は自分の為にもなっていると考えられています。心を合わせてひとつの念仏を唱えることによって、その力が大きな力となり現世での往生が成し遂げられているとされています。唱名は南無阿弥陀です。

●時宗(じしゅう)
宗祖は「一遍」。阿弥陀仏への信心に関わらず、誰でも念仏を唱えれば往生できるとされています。これは、念仏を唱えて成仏するのではなく、念仏を唱えることがすなわち往生であるという教えに基づくものです。時宗は、踊念仏という踊りながら念仏を唱えるというものがありますが、現在は行われている地域も少なく、重要無形民俗文化財に指定されています。唱名は南無阿弥陀仏です。

法華系

●日蓮宗(にちれんしゅう)
宗祖は「日蓮」。他の宗派のように複数の経典があるのではなく、妙法蓮華経以外の経典はほとんど使われておりません。それだけ教えを徹底しており、人の生き方と妙法蓮華経を一体化するという考え方をもっています。江戸時代までは法華宗、日蓮法華宗とも呼ばれていました。唱名は南無妙法蓮華経です。

禅宗系

●曹洞宗(そうとうしゅう)
宗祖は「道元」。座禅を中心にしており、悟りを求めない修行でこそ悟りが開かれると考えられています。曹洞宗では、何も考えずただひたすらに座禅するという黙照禅が行われます。唱名は南無釈迦牟尼仏です。

●臨済宗(りんざいしゅう)
宗祖は「栄西」。栄西が日本における開宗ですが、栄西以降中国から何人もの僧によって持ち込まれたことで様々な流派(十五派)が作られました。与えられた公案に対して座禅をしながら答えを工夫するという公案禅が行われています。経典や教えに依存せず、直接相手の心に働きかけ、人間の心の本質が仏と一緒であるということを悟ることで成仏できるという考えをもっています。唱名は南無釈迦牟尼仏です。

●黄檗宗(おうばくしゅう)
宗祖は「臨済義玄禅師」さらに遡ると「達磨大師」。江戸時代まで宗派名を臨済正宗と称していましたが、臨済宗と区別するため、明治9年に黄檗宗に変更されました。教えは、浄土教や密教の要素がうかがえ、浄土往生や念仏と座禅を組み合わせた念禅一致の特色があります。唱名は南無釈迦牟尼仏です。

このように大きく5つの系統、13の宗派に分かれており、さらにその中で派閥は56派存在するのです。それぞれに教義に違いがあり、葬儀やお墓に対する考え方やスタイルにも違いがあります。

次回は、そんな宗派の違いによるお墓づくりの作法の違いについてお話したいと思います。

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