お役立ちコラム

「お墓本体の名称③」お墓を石材で建てる意味とは?大地がもたらす自然に抱かれる

家族や知人など親しい間柄の人が亡くなると、その方を忘れないよう何かカタチとして残したいと人は思います。そこで重要な役割となるのがお墓や仏壇です。どんなカタチであれその人を感じられる存在があるだけで、生前の懐かしさに思いを寄せることができ、心の拠り所となります。もちろん、今の生活スタイルから様々な墓標となるカタチは存在し、自然が好きだった方なら樹木葬や、家に置けるタイプのお墓であったり、アクセサリーなど常に一緒にいたいと思えるカタチなど種類も豊富と供養の仕方も多種多様になっています。

また、お墓や仏壇など、故人やご先祖様を想いゆっくり眠っていてもらいたい、もう1つの家としての役割もあります。ただなぜ日本人はお墓に石材を使うようになったのでしょう。石材を墓標にした理由には下記のようなことが挙げられます。

・生者が故人を偲ぶ象徴として
・野生動物などに遺体を掘り起こさせないため
・故人が亡くなったことをきちんと納得するため
・お墓=家の代わりとして、もう1つの家でゆっくりと眠ってほしいとの願い

実用的な意味では、野生動物が遺体を掘り起こさないため、固めた土の上に石を置いたとされています。熊はもちろん古くは日本にはオオカミも生息していたため、肉食獣が遺体の匂いに気づき掘り起こす恐れがありました。人間の力で土を固めたとしても、野生動物の方が力は何倍も強く、そんな動物たちでも動かせない大きめの石を置いていたとされています。

墓石を建てる前には、木製の墓標を建てていた!

時代が進んでもなかなか一般庶民がきちんとしたお墓を建てることができず、墓石は成形や研磨などされていない周辺にある適度な大きさのものを故人を埋めた土の上に乗せるだけでした。次第に、棺を埋めると同時に地表に「土饅頭」と呼ばれる盛土を形成し、ただ石を乗せるだけでなく、木碑(もくひ)を建て墓石を建てるまでの仮のお墓(墓標)を建てる風習がうまれます。

木碑(もくひ)を建ててから大体7年ほど経過すると、土に埋まっている部分が腐食し倒れることから、墓石を建てる目安としていました。現代でも木碑(もくひ)を建てる風習が残っている地域もあったり、また仏師が造る亡くなったペットの面影を模した木碑(もくひ)の中に遺骨を納入する「ペット木碑」という新しい供養の形もあります。

お墓を石材で建てる意味とは?

お墓に石材を使用する理由は、大きく3つあります。

・大地から生まれた石の自然な温もりが感じられる
・耐久性の高い石材で、末永く時代をつなぐ
・古代から石は神聖で信仰対象とされていた

石は、地球の大地から生まれた「岩石」です。「岩石」は、透明な「石英」や白い「長石」、黒い「黒雲母」などの粒の有機物が集まって形成された「鉱物」からなるもので、採取される地域や国によって性質や色など種類も様々あります。「岩石」は大地が生み出す自然の結晶で、強固な見た目なのに温かみを感じさせてくれ、人は、故人に対して石の温かさに抱かれて眠ることが一番適していると感じたからかもしれません。

また、岩石は、3種類に分類することができます。

・火成岩(かせいがん):マグマが冷えて固まったもので「火山岩(かざんがん)」と「深成岩(しんせいがん)」の2つに分けられます。
・堆積岩(たいせきがん):既存の岩石が風化・侵食しできた礫や、土泥、砂、火山砕屑物などが蓄積して固まったもの
・変成岩(へんせいがん):火成岩や堆積岩が圧力や温度の影響で、特性が変化したもの

それぞれの石で成分や構造、さらに見た目などが異なります。日本では主に「御影石(みかげいし)」を墓石として使用することが多く、「御影石(みかげいし)」は、マグマがゆっくりと冷えてできた「火成岩(かせいがん)」です。白と黒の小さな粒子がぎゅっと詰まっているような見た目をしているのが特徴です。

なぜ墓石に「御影石(みかげいし)」を使用することが多いかというと、硬く、磨くと光沢が出て、さらに風化に強く耐久性があるからです。また、「御影石(みかげいし)」は、白・グレー・黒・緑・赤などと豊富な色合いで、墓石以外にも、外壁や遊歩道などにも使用されています。もちろん、他にも墓石に適する石材もあり、産地や色合いなど好きな石材を選びお墓を建てることができます。

石は古代から象徴的のようなもの?

そして石は古代からその硬さを知られ、建造物でも多様に使われてきました。そんな耐久性の高い石材は、先祖代々から永く受け継がれるお墓にするためにも使われるようになりました。石材であれば、雨風にさらされても腐食しにくく、さらに昔は土葬が主流であったため、遺体を埋葬したあと動物などに掘り起こさせないようにするためにも頑丈な石材が選ばれたとも言われていえます。

また、採れる地域によって性質や色合いなどが異なる石は、古代より神秘的で神聖な祭事でも使われ、大きければその石自体が信仰対象になったり、美しい色や輝きを持つと装飾品などにも活用されてきました。身近な存在であっても、見方によって神聖な対象となる石はそれだけで価値があったと考えられます。

だからこそ、神事などで使用する祭壇を石材で作ったり、支配階級の人が亡くなった際に、装飾を施した石材で作った石棺で埋葬していたのかもしれません。

まとめ

石材でお墓を建てることは、耐久性や掃除のしやすさなど複数の要因のほかにも古くから意味を持っていました。一見、硬くて冷たく見えるかもしれませんが、母なる大地が生み出した自然の恵です。しっかりと墓石で守られているからこそ、故人やご先祖様が頑丈な家でゆっくりと眠っていると安心して日々を過ごせるのです。

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