お役立ちコラム

仏教の宗派とは?13宗56派で何が違うのか分かりやすく解説

お盆の時期も目前となってきた8月上旬。この頃になるとお墓参りのことが脳裏を過ぎりますよね。お墓参りをすると普段は考えることも少ない宗派についても思い浮かぶかとは思いますが、日常生活を送る上で、普段自分の家がどの宗派に属しているかなど意識することは少ないと思います。

宗派によって、仏壇に安置する本尊も違ってきますし、教義やお経もそれぞれ異なってきます。

仏教はインドが発祥の地

インド発祥の仏教は2500年前頃、ブッダが開き、宗派は仏教から派生した分派のことを言います。そこから中国や朝鮮半島を経由し日本に伝わってきました。その過程で、たくさんの宗派へと分かれ現時点(令和元年末)で156の仏教宗派が存在しています。

日本にはどのように伝来したのか?

日本には、538年(一説には552年)に伝来し、聖徳太子が天皇を補佐する摂政になった際、日本に仏教が広まったと言われています。それより以前に民間には渡来人などによって伝えられていたと言われています。

聖徳太子が法隆寺を健立したことで、仏教が日本に定着していきました。平安時代には、最澄と空海(のちの弘法大師)の二人の偉大な仏教者が現れ、最澄が天台宗を、空海が真言宗を生み出しました。日本の仏教の13宗派は、明治維新以降に成立ていた「伝統仏教」を指し、明治政府が13宗56派を公認したことに由来しています。

現在、日本に伝わった仏教は八つの宗旨とされ、天台宗・真言宗・浄土宗・浄土宗真宗本願寺派・真宗大谷派・曹洞宗・臨済宗・日蓮宗です。宗派の違いによって焼香の方法や葬儀でのマナーなどが異なるため、事前知識が必要不可欠です。

宗派とは何か?

宗派は、仏教から歴史的な経緯を経て生まれた分派のことを言います。その宗派は、ブッダが20歳で出家し、悟りを開きそこから40年間で説かれた教理が膨大な数に膨れ上がり、その一つ一つが大きくなりそれぞれ分かれたことで生まれました。次第に同じ仏教でも、宗派により教理や信仰対象、お経や作法といったものに違いが出てきました。

現在でも宗派の違いを身近に感じられるのが、仏式の葬儀です。宗派によってお葬式のマナーが異なるので、注意が必要です。

宗派を知らないと困る?

日常生活を送る上では、自分の家の宗派が分からなくて困ったということはまずありませんが、お葬式やお墓となると宗派を知らないと話になりません。宗旨によりお葬式の意味合いが変わり、宗派によりそれぞれ作法や決まり事が異なってきます。また地域によってもお葬式のマナーが違ったりするので、このあたりも念頭に入れておかなければなりません。

ちなみに、宗旨・宗派を知らなければ、お葬式を誰に頼めばいいのかも分からなくなります。実際に自分の家の菩提寺(先祖代々のお墓があったり、家で付き合いのあるお寺など)があればいいのですが、急なことで葬儀社全て任せたことで、親戚から「うちの宗派ではない」と言われて困ってしまった事例も多々にあります。

日本仏教の代表的な宗派とは?

156の仏教宗派の中でも代表される「日本八宗」と呼ばれる、8つの宗派があります。

|天台宗(てんだいしゅう)
平安時代初期に伝教大師最澄により日本に伝えられ大乗仏教の宗派の一つ「天台宗」。正式名称は「天台法華円宗」で、「法華円宗」や「天台法華宗」とも呼ばれています。仏の教えを顕教(けんぎょう)と密教(みっきょう)の2つに分けて考え、顕教は、「自分を救い他人を利する」という教えで、密教は「仏と自己の一体を観念し、仏の力で仏の境地に達する」という教えです。この2つの教えで、故人の罪や穢れを払い、故人や縁者と一緒に仏道に達するという考え方です。本尊は阿弥陀如来や釈迦如来で、経典は法華経です。

|真言宗(しんごんしゅう)
平安時代に弘法大師空海が開いた密教の宗派です。数多くの分派が存在し、「真言陀羅尼宗」や「曼荼羅宗」、「秘密宗」などとも呼ばれています。故人を密厳浄土(三密の万徳によって荘厳された大日如来の浄土)に送り届けるため、今世で身についた悪い考えや習慣などを葬儀によって浄化し、仏様の加護を得られるように供養します。本尊は、大日如来ですが、大日如来の徳性の一部とされている仏や菩薩、明王も祀られています。経典は大日経と金剛頂経の2種類あります。

|浄土宗(じょうどしゅう)
1175年、法然上人が開いた大乗仏教の宗派である「浄土宗」は、「浄土専念宗」とも呼ばれています。「南無阿弥陀仏」と念仏を唱え、阿弥陀仏への帰依や感謝を表すとともに、阿弥陀仏の力で仏の救済を受け、死後は浄土に生まれることができる、という教えです。本尊は、阿弥陀如来と阿彌陀佛で、無量寿経、観無量寿経、阿弥陀経の3部経を経典としています。

|浄土真宗本願寺派(じょうどしんしゅうほんがんじは)
鎌倉時代に親鸞聖人が開いた宗派「浄土真宗」は、仏教で禁止された「肉食妻帯」のほか、「悪人正機」を唱えています。
ご本尊は、阿弥陀如来です。阿弥陀如来は全ての人々を救うことができる「本願力」(本願が成就し仏と成ったことによって得た力)を持っているとされ、この本願の力によって救われる「他力」(仏・菩薩の加護の力を指す)を説いています。

|真宗大谷派(しんしゅうおおたには)
浄土真宗本願寺派に次ぐ規模の浄土真宗の宗派で、戦国時代から江戸時代にかけて、分裂した歴史があります。本山は京都にある真宗本廟(東本願寺)で、ご本尊は、阿弥陀如来です。浄土宗の教えである「他力本願」がさらに強い「絶対他力」が教えで、念仏を唱えていなくても阿弥陀如来を信仰しているだけで成仏できるという教えです。

|曹洞宗(そうとうしゅう)
800年ほど前に、道元禅師によって中国から日本へ伝えられた座禅で悟りを開く宗派で、お釈迦様が坐禅の修行に精進し、その結果悟りを開いたことに由来しています。そのため、何も考えずただひたすらに座禅をする黙照禅で行われます。御本尊は、釈迦如来です。

|臨済宗(りんざいしゅう)
明庵栄西によって中国から鎌倉時代以降に日本へ伝えられ、その後、江戸時代に白隠禅師によって確立しました。曹洞宗と同じく座禅で悟りを開き、知識ではなく、悟りを重んじています。お葬式は、亡くなった人を仏の弟子にするための授戒の儀式と、仏生(言葉による理解を超えたことを理解する能力)に目覚めさせ、仏の世界へと導くための引導の儀式が中心です。ご本尊は、釈迦牟尼仏です。

|日蓮宗(にちれんしゅう)
鎌倉時代に日蓮聖人によって開かれた「日蓮宗」は、お釈迦様が説かれた法華経を拠り所にし、南無妙法蓮華経と唱えることが、教理となっています。本尊は、久遠の本師釈迦牟尼佛です。

まとめ

宗派の違いによって教えはさまざまです。さらにお葬式の方法や様式も異なってきます。自身の宗派がどこなのか?どういった様式なのか?など一度調べてみてはいかがでしょか。

墓石の相談やお墓参り代行などの、オンライン相談はこちら

関連記事

ページ上部へ戻る