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「墓じまい」に必要な手続きとは?【手続編】

墓じまいの費用編準備編とお話ししてきました。

「墓じまい」は、先祖のお墓を片付け、お墓を立てていた土地をお寺や霊園の管理者に返却することを言います。近年ではお墓を継ぐ人がいなかったり、故郷から遠く離れて暮らしてお参りがなかなかできないといった様々な理由で行うことが多くなってきています。

よく勘違いされがちですが、お墓をたたんでしまえばそれでお終いという訳ではなく、きちんと次の改葬先を考えなければなりません。

ここでは「墓じまい」をする時の手続きについて簡単に説明していきます。

「墓じまい」をする時、一番大切なのはなにより親族との話し合いですが、次に大切なのが手続きです。

 

■墓じまいの行政手続き
「墓じまい」をした後に納骨を他の場所で供養するときには、「改葬許可申請」の手続きをしなければなりません。このとき必要となる書類は「埋葬(納骨)証明書」「受入証明書(永代供養許可証)」「改葬許可申請書」の3点です。

 

【必要となる3つの書類】

  • 自治体が用意する「埋葬(納骨)証明書」
  • 改葬元(墓じまいするお墓)の墓地管理者による故人を証明する「改葬許可申請書」
  • 改葬先(墓じまいした後の埋葬先)の墓地管理者による遺骨受け入れを証明する「受入証明書(永代供養許可証)」

「改葬許可証」は不要?

改葬許可証が必要になるのはお墓からお墓へ改葬する場合のみです。散骨は改葬にあたらないため、自治体でそもそも「改葬許可証」を発行してくれない場合があります。散骨はあくまでも海や山など自然界にお骨を撒くのであって、法律が定めるように「お墓」への埋葬ではないために受入の証明のしようがありません。「墓じまい」した後の遺骨の受入先のお墓がないため、遺骨の受入そのものを証明できず、「改葬許可証」は発行されません。

 

「埋葬(納骨)証明書」
埋葬(納骨)証明書は、現在のお墓の管理者に交付してもらう書類です。また公営霊園の場合は市区町村が窓口になっている場合もあります。

 

「受入証明書(永代供養許可証)」

受入証明書(永代供養許可証)は、新たな納骨先のお寺や霊園の管理者に交付してもらう書類です。散骨や手元供養を行う場合、どのように手続きすれば良いかなどは、事前に「埋葬(納骨)証明書」を発行してもらうときに、市区町村に問い合わせてみましょう。自治体によってはホームページからフォーマットをダウンロードすることができたり、引越し先で用意してある場合など様々です。

 

「改葬許可申請書」

「埋葬(納骨)証明書」と「受入証明書(永代供養許可証)」が準備できたら最後に、「改葬許可申請書」となります。こちらも自治体によってホームページからダウンロードすることができます。
「改葬許可申請書」は、遺骨を取り出すために必要な書類です。一般的に記載する可能性が高い内容は以下の通りです。

■死亡者の情報を記載
死亡者の本籍および住所と氏名を記載します。次に性別を選択し死亡年月日を記入していきます。さらに、改葬の理由と改葬場所を記入すれば完了です。

■申請者の情報を記載
次に、申請者の住所と氏名、死亡者との続柄を記載します。墓地使用者との関係など記載する欄がある場合は、墓地使用者が誰になっているかを確認した上で、間違いがないように記入します。記入するのが申請者本人でない場合(代筆など)は、印鑑が必要となるので、忘れないようにしましょう。また「改葬許可申請書」は、複数の遺骨があっても遺骨1体に対して1枚必要となります。

また申請をする際、シャチハタ以外の印鑑も念のため持参すると安心です。

さらに改葬許可証が発行されるまでには時間がかかることがあるので、余裕を持って手続きを行うようにしましょう。

ちなみに「墓じまい」をした後に自宅供養あるいは散骨をするのであれば、この「改葬許可申請書」は必要ありません。しかしお寺や霊園によっては「改葬許可申請書」がないとお骨を出してくれない場合がありますので、注意が必要です。ここもしっかりと事前に確認しておきましょう。

この3つの書類を合わせて提出しますが、「改葬許可証」が発行されるまで多少の時間がかかることもあるので、余裕を持って手続きを行いましょう。

 

■3つの書類の提出方法

「今現在、遺骨のある場所の自治体へ改葬許可申請を行う」
改葬の手続きを行うときは、遺骨が納骨されている自治体へ「改葬許可申請書」を提出します。各種書類に不備がなければ約3日〜1週間程度で「改葬許可申請書」が交付されます。この時点で手数料がある場合は支払います。

「今現在、遺骨のある墓地管理者へ改葬許可書を提示」
「改葬許可申請書」が交付されたら、現在遺骨のある墓地管理者へ書類を提出します。改葬許可証を提示することで改葬が認められたことが確認できるので、お墓の解体を進めることができます。この時、魂抜きを行う必要があるのでお寺に依頼しておきましょう。

「引越し先の墓地管理者へ改葬許可証を提示」
引越し先へ納骨を行う際に、改葬許可証が必要です。納骨式の法事や魂入れを行う必要がありますので、住職の手配も早めに行いましょう。

 

■「墓じまい」後、自身の死後も考えましょう!

「墓じまい」をしたら、自身が死んだ時の埋葬方法も事前に考えておきましょう。多くの人は自分が元気なうちに「墓じまい」を行いますが、その時はそのことだけで頭がいっぱいになってしまいがちです。しかしその後、自分の死後について考えておかないと、いざ亡くなった時の埋葬場所を失ったままになってしまいます。

自分の「子供に迷惑をかけたくないから」という理由で「墓じまい」をする人が多いようですが、「墓じまい」してしまったことで、逆に子供たちが新しいお墓探しをしなければならないなんてことになりかねません。そうならないよう、生前にきちんと話し合いや供養方法について考えておきましょう。

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